日本アニメがTVで放送されていないチェコでも日本アニメは人気があります

ヤコブ・ストリブルニイ

日本と言えば、チェコ人のだれでもが「ゲイシャ」、「スシ」、「サムライ」などの言葉を思い浮かべます。 しかし、一般にはまだよく知られていないが、かなり熱心な興味を持っている人がいる日本文化の輸出品がもう1つあります。日本アニメーション。

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日本アニメ・プログラムを初めて含めたチェコのファン・コンベンションでの上映

アメリカ、フランスなどの西洋の国では日本アニメーションがよく知られていて、わりと大きなマーケットになりました。東京よりも少ない人口のチェコでは、日本からアニメーション作品を直接輸入することがビジネスとして成り立ちにくいです。したがって、『ポケモン』、『爆転シュート・ベイブレード』、『デジモン』などのアメリカから英訳状態で輸入された子供向けの作品以外に日本アニメはチェコのテレビでは数年前まで放送されてきませんでした。そうは言っても、今年ブルノで行われた「アニメフェスト」と言う日本文化フェスティバルの来場者数が2000人を超えました。この行事では日本文化やアニメ自体についての講演以外には、『おおかみこどもの雨と雪』、『ベルセルク黄金時代篇I・III』、『宇宙兄弟』などの新作品が上映されました。
その中で、『ベルセルクIII』は来場された窪岡俊之監督のサポートの元でヨーロッパで初めて上映された。「アニメフェスト」のような行事が年間に複数行われますが、全てには1つの共通点があります。アニメ製作会社及び輸入会社が商品を宣伝するための行事ではなく、日本アニメのファン達が自力で行事を準備して、上映する作品を翻訳した字幕をつけて、入場料で上映権利などを支払うところです。
正式的にサポートされないこのサブカルチャーはどういう経緯で発展したのかと言う質問を考えて、チェコの日本アニメーション・ファンのサブカルチャーの成り立ちを紹介したいと思います。

Animefest 2013 準備中!

https://www.youtube.com/watch?v=mBMPkhGfG-U

初めてチェコ人に日本アニメに興味を持たせた作品はアニメーション作品ではなく、「ファイナール・ファンタジー」と言うゲーム・シリーズの中7番目及び8番目のゲー

ムでした。当時(1999年)のチェコでは日本と違ってPlayStationなどのゲーム機よりはPCの方がゲームの機械として遥か多く使われていました。『ファイナール・ファンタジーVII・VIII』は日本産テレビ・ゲームの中でPC版でも発売された数少ない作品の一部分で、西洋中で高い評価を得たゲームとして日本のデジタル文化を広くチェコ人に紹介した作品でした。
ファイナール・ファンタジーのファン達がインターネット上であるチャット・サーバーに集まって、やがて話が日本産ゲームから日本産アニメーションに移ったのが、アニメ・ファンのサブカルチャーの始まりでした。
前に言った通り、その頃には、チェコのテレビで『ポケモン』などの子供向けの作品した放送されなかったので、日本アニメについての情報は英語圏のインターネット・フォーラムとかファン・サイトなどからしか得ることが出来ませんでした。しかも、日本アニメが輸入されない国では作品自体を見ることが難しかったのです。

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「アメリカ化」されたアニメ『ナルト』。オリジナルの映像は右。(C)Masashi Kishimoto/Hayato Date/Shueisha/Studio Pierrot/
TV Tokyo/VIZ Media

当時のアメリカでは、英語版の日本アニメが販売されていましたが、大抵は吹き替えの付いていた「アメリカ化」されたバージョンの『ドラゴンボール』、『機動戦士ガンダム』などの主流アニメだったので、ファン達が「純粋」なオリジナルやアメリカのアニメ輸入会社のビジネスにならない「マニア的な」作品を見たかったら、日本で住んでいる友達に郵便やインターネットで日本語版を送ってもらって、自分で英訳

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Akicon2012:ロビーの風景

して、字幕付きでインターネットで他のファン達とシェアするしか方法がありませんでした。
これらの英語海賊版の中から良い物をダウンロードして、チェコのアニメ・サブカルチャーが始まりました。この時、チェコでは、インターネット・アクセスを持っている家庭が少なくて、56.6kダイヤルアップ接続が標準で、接続の時間料金がわりに高かったです。だから、~170MBのアニメ・エピソードをダウンロードするにはDSLなどの早くて、常に繋がっているサービスが必要でした。日本アニメに興味を持った人達がこのような技術でインターネットに接続できる場所は大抵同じでした。大学の工学部。だから、チェコの初めての日本アニメのファン達は技術専攻の男子大学生でした。

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アニメ・コンベンションには、日本文化について色々な講演があります

やがて、2000年に日本アニメが初めてSF・ファンタジーのファン・コンベンションのプログラムの一部分となりました。コンベンションとは言っても、日本の「コミック・マーケット」や「東京国際アニメフェア」みたいな大きなイベントではありませんでした。当時のファン・コンベンションとは大抵、週末や休みの間に、数百人のファン達がある校舎に校長に内諾で集まって、作品のディスカション、講義などを行って、映画を上映したり、一緒に楽しめる形で行われていました。IMG_8751
続いて、アニメ・ファンの数が増えるにつれて、日本アニメだけを中心とするインターネット・フォーラムやコンベンションが成立しました。そして、入場料の収入が上がって、コンベンションが「オフィシャル化」することができました。開催地が校舎から、博覧会センターなどの立派な場所に移ったので、上映される作品は海賊版ではなく、上映権利を著作権者から貰った物を扱うことになりました。
今のところは、チェコには3つの大きなアニメ・コンベンションがあります:

  • 5月ブルノ市内で行われるフェスチバルの雰囲気を持つ「アニメフェスト」 (Animefest,毎年の来場者数2000人以上)
  • 8月プラハ市内で行われる市内サマー・キャンプの雰囲気を持つ「アドヴィーク」(Advík,来場者数2000人以上)。
  • 11月プラハ市内で行われる講演会の雰囲気を持つ「アキコン」(Akicon, 来場者数が700人に限定されている)

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これらに加えて、いろいろな他の来場者数百人規模の小さなローカルのコンベンションもある。自分を「オタク」と呼ぶ日本アニメ・ファンの数を推定すればおそらく5000人に達すると思われます。
インターネット・フォーラムに集合して、コスプレイ、ファン・アート、チェコ語訳アニメ字幕、同人誌などを作る生産力の高いコミュニティーです。そして、数年間前から、チェコ語訳の日本漫画が段々販売されるようになって、ケーブルテレビでチェコ語吹き替えか字幕が付いている日本アニメが放送されるようになってきたので、これからチェコ人のアニメ・ファンの数もますます増えていくでしょう。